長期実践型インターンが採用につながる3つの理由

就職活動の後ろ倒し以来、急速に広まった”インターンシップ”。
会社見学型の1dayインターンが大多数を占める中、長期インターンの役割は何でしょうか。
地方ではUIJターンの促進として行われる場合もあります。
今回は、あまり知られていない効果について、書きます。

長期インターンでよくある誤解

「長期インターンをすることで、採用ができなかった会社に人が来た!」
巷には、こんな都市伝説が流れていたりしますが、
残念ながら高確率で採用できるようなデータは見たことがありません。
もちろん、長期インターンする人は、会社、業界・職種に興味があるのは確かでしょう。
ただ、長期でインターンさせるコストと採用率を考えれば、
説明会や1dayを使った「数の勝負」の方が効果的だと思います。

長期インターンでは、長期間一緒に働いて、
お互いに相性を見ることで、ミスマッチを防ぐ効果はあります。
ただし、インターン生にバイトの内容をやらせている場合には、
悪印象になることがあるので注意してください。

長期実践型インターンシップとは

長期の実践型インターンはどうでしょう。
まずは、短期のインターンとの比較です。
(※記事内では、便宜的に中期と長期を合わせて、長期と記載しています。)

「期間が1ヶ月以上の長期」「企業内のプロジェクトに取り組む」という2つが大きな特徴です。
見学・体験という「お客様」より、「期間限定の正社員」というイメージですね。

プロジェクトは、インターン生のために用意するのではなく、
企業が本気でやりたいと思うプロジェクトです。
企業も学生も本気で取り組みながら、両者が学び合う関係を築いていきます。

また、金銭的な報酬は、あえてバイトより低く設定しています。(理由は後述)

それでは、長期インターンは、なぜ採用につながるのでしょうか。
まず前提として、「インターン生が入社する」とは考えていません。
「インターンを通して、入社したい会社へ変わる」という考えです。
どう変わるのかを詳しくみていきます。

永続性や将来性を高める

企業が本気でやりたいプロジェクト。
その切り出し方を、4象限のマトリクスで説明します。
「緊急度」と「重要度」の2つの軸で切ります。
インターン プロジェクト 緊急度重要度

①は、現在の主力事業など。
②は、バックオフィスなどの非生産部門です。
どちらもやってないとマズい。

③は、やる必要がありません。

④は、やっておいた方がいいのですが、後回しになりがちです。
特に人手不足だと、ここに人を割けません。

しかし、変化の激しい社会で、④をしておかないのはリスクがあります。
既存事業は衰退していきますから、新しい事業をつくりながら、生き残っていかないとなりません。
潜在ニーズの掘り起こしや、現場の課題解決など、将来への投資は欠かせない。
長期インターンでは、人手付きで④に取り組むことができるのです。

まず1つ目は、会社の永続性や将来性を高めることに繋がる点です。

非金銭的な報酬を高める

人が働きたいと思うモチベーションを、また4象限で考えます。

「金銭」と「非金銭」の2軸で切ります。
「非金銭」は、やりがいだったり、楽しさや人間関係(ストレスフリー)、成長などです。
インターン マネジメント 金銭非金銭
働く際には、給料で決めることが多いので、①②で入社してきます。
知り合いの社長が、「人は給料で決めて、人間関係で辞める」とよく言います。
特に最近は、非金銭の部分が大事で、「誰と働くかで決めたい」という学生も多いです。
人間関係や価値観が合わないと辛いですよね。

長期インターンでは、敢えて金銭報酬を低くしています。
これは、「金銭」と「非金銭」の総量を増やすためには、
非金銭的報酬を高めないといけなくするためです。
つまり、意義(誰を幸せにするか)や、マネジメント(自己成長のための研修やフィードバック、適切なコミュニケーション)などが整っていないと誰も参加しないし、やる気も続かない。

実際に、社長がなぜこのプロジェクトをやるかを社員が理解しておらず、
インターン生を通して理解してもらうことはよくあります。
社長は意義を言っているつもりでも、現場には伝わっていないのです。

また、マネジメントでは、中堅社員が若手への接し方の研修となることもあります。
しかもインターン生は、フルタイムでないことが多いので、多様な働き方の許容にも繋がります。

このように、社内で非金銭的報酬を高めるトレーニングができます。
もちろん①が最高です。
④に寄った状態から、①にあげていくことが重要だと考えています。
(そこは、プロジェクトで新事業を推進することとリンクします。)

”甲子園効果”で雰囲気を良くする

インターン生がやる気を出すと、それが周りへ伝わります。
これを私は”甲子園効果”と呼んでいます。
高校野球はプロほど上手くないけれど、一生懸命プレーする姿は感動と共感を起こします。
新しいことをやろうとすると、社員は「面倒くさいなぁ」とつい思ってしまうこともあるでしょう。
それが「インターン生が頑張っているから、手伝うか」となりやすいのです。

また、プロの中にアマが混ざっていて、良いプレーをされたら、プロは負けじと頑張りますよね。
社員もインターン生に負けないように、勉強したり、率先して行動したりという変化もみられます。

社内が一致団結し、前向きに働く雰囲気の良い会社にしていく効果があります。

選ぶから選ばれる会社へ

「将来はAIやロボットが普及し、ベーシックインカムになって働かなくてすむ」という話があります。
実際にそんな未来が来るかは分かりません。
しかし、ネットやロボットの進歩によって、仕事や働き方は多様化しているのは事実でしょう。

変化の激しい中、現状維持だけでは将来厳しい。
やりたくないことは効率化、代替していけば、やりたい仕事に集中できます。

将来性があって、楽しく働ける。
そんな会社なら働きたいと思う人がたくさんいると思います。

長期インターンは、人を連れてくることではなく、会社が変わることに価値がある。
つまり、働きたいと思える会社に変わることです。
時間はかかりますが、こうして採用力は向上していきます。
長期インターンを通して、学生を選ぶのではなく、選ばれる会社になりましょう!