【学生取材】株式会社あけぼの印刷社 ー全文記事ー

あけぼの印刷社さんは、お客様にも社員にも寄り添い、親身になってくれる印刷会社です。
「相手の想いを伝えたい。」「相手と一緒に想いを伝えたい。」みんなで協力して想いを形にする。
そんな印刷業って素敵だと思いませんか?

会社紹介

株式会社あけぼの印刷社は、茨城県を中心に、印刷によって最新の情報を提供している資本金3千万円、従業員数91名の印刷会社です。現在の社長は、山田周さんです。
1946年創業以来、73年間先進的な技術をもとに印刷業を営んできました。近年は、単なる「印刷業」ではなく「情報伝達業」といった根幹に立ち返り、事業展開をしています。
現在は水戸本社、茨城町工場、つくば営業所の3カ所を拠点にしています。
あけぼの印刷社は“伝える“ことを理念としています。「コミュニケーションを作る会社」として、お客様の伝えたいことを形にするため、会社が一丸となってお仕事に取り組んでいらっしゃいます。 

 

会社見学

今回、私たちは2002年新設の茨城町工場を取材させていただきました。工場内部には、5000万円越えの印刷機や、ディーゼル電車くらいの大きさの印刷機がいくつもあり、その規模感に圧倒されました。
看板やプラスチックパネルをつくる印刷機や、大量印刷できる最新プリンタもあり、多岐に渡って「印刷」というお仕事をされているのだと分かりました。

山田社長は印刷機を「プリンタのお化け」と楽しそうに話されていたのが印象に残っています。
また、「日本製のものは小回りが利き、ドイツ製のものは頑丈」など製造された国によって個性があるんだそうです。「会社で使われる印刷機は、社長の性格が出る」と仰っていて、「印刷機も人の趣味が出るんだな」とすごくワクワクし、見ているだけで楽しい現場でもありました。
新しい機械や方法を導入することで、顧客が言葉にできない要望を、具体的に表現することも可能になるそうです。出力先や方法を変えるだけで、新たな需要を生み出せるのだと分かりました。
会社の廊下には、社内で公募した業務改善案が張り出されていました。
社員全員に改善案を聞き、張り出して改善案コンテスト(賞金付き)を行ったそうです。ゲーム感覚で取り組むことで些細な意見を吸収し、楽しく効率化を図っています。


見学中に、社長が社員に気さくに話しかけていたり、現場の社員を「職人」と呼び機械について気軽に聞いていたりしたことからも、社長社員間に大きな壁もなく、お互いに信頼しあっている、フラットな職場の様子がうかがえました。
新技術導入や社内環境に気を使ったりすることで、効率化を重視している印象を受けました。

 

社長インタビュー

代表取締役 山田周さん

山田社長はソフトバンク出身で、iPhoneの台頭によって従来の携帯電話業界が変わったのをきっかけに、会社を辞めて家業であるあけぼの印刷社に戻られました。
2015年に社長に就任し、自身の経験と分析力をもとに会社の改革を続けています。
まず、社員に対する想いや、「情報伝達業」の根幹となる“伝える”ことについて、いくつか伺いました。

――社員を大切にしている理由を教えてください。
ソフトバンクの社風が身についていたから、昔は社員は社長の言うことを聞くものだと思っていたんだけど、それだと社員が楽しくないことに気が付いて。中小企業だからみんなが仲良くないとやっていけないと思って、今は社員と向き合っています。

――会社の部署ごとの連携で重視していることはありますか?
部署ごとというよりも、人同士がコミュニケーションをとりやすいことが大事だと思っているよ。
そもそも「あなたが何者か」を知らないと連携できないし、その人自身に興味を持ってもらうとコミュニケーションはうまくいくからね。だから、朝礼で自己紹介や最近嬉しかったこととかを言ってもらったりしているよ。

――あけぼの印刷社では“伝える”ことを大切にしていますが、“伝える”ために重要なことは何でしょうか?
まずは、コミュニケーションを円滑にするためにコミュニケーションの場を作ることかな。
あとは、「中身」「タイミング」「媒体」だと思う。
相手の知識がどこまであるかを見て、言い方を変えるのが「中身」。話を聞き入れられる「タイミング」かどうか考えること。あとは伝えるための「媒体」。うちの会社の場合は、媒体として紙だけじゃなくて看板のためのプラスチックを使ったりしているね。今はネット広告もあるけど、僕たちが関わってるチラシなどとは役割が違うと思ってる。チラシは1対1のアプローチになっているかな、と。

次に、経営に関する考え方について伺いました。

――経営上注意していることはありますか?
ソフトバンクのときに、iPhoneがでて出てきて、今まで自分が花形だと思ってやってきた公式コンテンツサービスが一瞬で廃れてしまった。すべてのビジネスには永遠なんてないと分かったよね。だから、どんどん新しいことをしなければならないと思ってる。あとは、オープンな環境がいろんなチャンスを広げるってことかな。

――あけぼの印刷社は新しい技術を積極的に導入していますが、そのために重要なものは何ですか?
「好奇心」と「探求心」かな。好奇心をもって新しい情報や知識を集めて、それを探求心で掘り下げるのが大事だと思う。

――新しいものを取り入れるときに、悩むことは多いと思いますがどのように決めているのですか?
悩みに悩んで結論が出なかったら、最後は自分が好きか嫌いかの感覚ですべてを決めることにしてる。今まで数値化・言語化できない経験をたくさんしてきたから、自分の感覚もビックデータだと思ってるよ。

――今後、東京に進出する予定はありますか?
東京に進出はしないです。印刷業は業界全体で売り上げが少しずつ下がっていて、特に人口が減っている茨城では印刷の需要が減ってる。なので、周りの印刷業社は諦めてしまう。でも、だからこそ自分たちに勝機があるんじゃないかと思ってるからね。 

 

社員インタビュー

1人目:
制作1課 真山知栄さん

間山さんは常磐大学コミュニティ振興学部卒業後、今年新卒で入社されました。現在は、DTP (広告等デザインや編集をPC上で行い、実際に印刷物を作成すること)の業務についています。
私が間山さんへのインタビューで最も強く感じたことは、会社全体の雰囲気として、個々人の性格や生活を大切にしていることです。 
――入社のきっかけは何ですか?
大学の授業で地元のいいところをまとめて冊子にする授業があり、そこで印刷業との交流があったのをきっかけに興味を持ちました。

――東京ではなく茨城に就職したのはなぜですか?
東京の印刷会社も受けたけど、地元でのびのびやろうと思ったからです。

――実際に入社してみてどうですか?
デザインや編集の経験はなく、会社に入って1から学んでいます。同期がいない中でも先輩方がサポートしてくれて少しずつ出来るようになっています。

――会社に入ってよかったと思うことは何ですか?
趣味で金曜日に油絵を習っていて、金曜日は油絵の時間に合わせて早上がりをさせてくれます。入社の時に趣味のことを話したことがきっかけなのですが、相談すれば、自分の生活に合わせて融通を聞かせてもらえるところが嬉しいです。

――社長についてどのように感じていますか?
「若い」と思います。社長自身が流行に敏感であるとともに、私たちの提案が通りやすいことからそう感じます。

 

2人目:
営業部・営業2課 鈴木歩未さん

鈴木さんは高崎大学地域政策学部を卒業後、2011年から営業としてあけぼの印刷社で働いています。インタビューからは、モチベーションを持続させる会社のフラットな環境を感じました。 

――入社のきっかけは何ですか?
もともと広告会社志望でしたが、就職活動を進めていくうちに、自分の知らないことが行われている印刷会社に興味を持ちました。また、学生時代の受付や対面販売のアルバイト経験から、人との接し方や商品の売り方が生かせるのではと思い営業職を志望しました。

――アルバイトと仕事で違うと感じる部分はどこですか?
「責任」ですね。アルバイトは目先の仕事をしていればいいですが、仕事となると自分がやっていることの意味や他の部署・今後の動きなど、全体を見てしっかりと考えなければいけないです。

――会社に入ってよかったと思うことは何ですか?
自分の携わった仕事が形になるとやりがいを感じます。スーパーや小売店との取引が多いのですが、店の売り上げが上がったという声を聞くと嬉しいです。

――働くうえで大切にしていることは何ですか?
気遣いです。ただ作って売るだけではなく、私たちが提供する印刷がお客様にとってより効果的なものになるようにしたいと思っています。休日もスーパーなどに行くと、ついポップなどを見てしまいます。

――社長についてどのように感じていますか?
社員との距離が近くて、フランクだなと思います。
普段社長は水戸にいますが、茨城工場に来た時には私の後ろの席が社長なので仕事を頼まれたりします。また、掃除など「それって社長がすること?」というようなところまでやってくれています。

 

3人目:
営業部・営業3課 吹野博昭さん

吹野さんは、専門学校卒業後、銀行の営業を経て転職であけぼの印刷社に入社し、営業として働いています。インタビューでは、前職との比較やお客様に接する際の心持ちについてお聞きしました。 
――この会社に入社するまでの経緯を教えてください。
最初は銀行に勤めていたのですが、その銀行が破綻してしまって…。同級生が印刷会社に勤めていた、という点で身近だったのであけぼの印刷社に入社しました。

――転職時に重要視したことは何ですか?
銀行がしんどい仕事だったので、割とどんな仕事もできる自信はありました。そのため、収入や労働環境というよりかは、家からの近さを優先しました。

――同じ営業職ではありますが、前の職場とあけぼの印刷社での仕事の違いはありますか?
お客様へのアプローチの仕方です。銀行の営業は、こちらから一方的に提案をする形だったのですが、今は、お客様と一緒に広告を創り上げていく形で仕事ができています。

――実際あけぼの印刷社に入ってみてどうですか?
前職で色んな会社に営業で行ったときは、なんとなく「この仕事大変そうだな」とか「逆にこの仕事楽なんじゃないか」といった見方をしていたのですが、転職をしてみて、どんな仕事も大変なのだと気づきました。

――働くうえで大切にしていることは何ですか?
お客様が何に困っているか汲み取って、それに対して自分たちができる最大限の提案を心がけています。結果として、お客様に喜んでもらえると嬉しいですね。さらに、自分たちを信頼していただけるとやったことに対しての評価を感じ、やりがいにもつながっています。

――社長はどういう人ですか?
一緒に頑張ろうとしてくれる人ですね。
社長の立場ではなく、同じ会社のパートナーとして自分たちを見てくれて、やったことに対して正当な評価をしてくれます。着飾らずにありのままの自分で仕事に励むことができています。

 

ワークショップ

2グループに分かれて、取材を通して感じたあけぼの印刷社の魅力をブレインストーミング式にまとめました。それを社長に対して発表し、フィードバックをいただきます。
発表の前にはグループ間で意見や印象の共有を行い、グループ全体として会社の魅力を多角的にまとめていきました。 
発表では、キーワードとして、以下の5つが挙げられました。

1.「理念(“伝える”)の体現」
“伝える”ことに関して、顧客の意見を汲み取るだけでなく、社員の自発性を促すような伝え方をされていることが印象的だった。

2.「リーダーセンス」
山田社長は、効率を重視した合理的な改革を行ってきたが、そのやり方は、従来のものを切り捨てて合理的なものを追い求めるていくというわけではありません。今あるものを最善にするという社員と顧客を大切にした形で、素敵だと思った。

3.「分析力+知識」
山田社長は自分が今やっている印刷業界が、業界全体として向かい風な状況の中、今まで培ってきた知識、経験からくる現状分析を用い、自信をもって新しい業務を展開しようとしているところに魅力を感じた。

4.「新しいものをお客様のために」
新しい技術を導入することによって、顧客の潜在的ニーズを引き出している。それによって顧客への貢献度が上がり、営業のモチベーション向上につながっている。さらにそれが会社の利益にもなっているので、この循環がいいと思った。

5.「フラットな環境」
社長が社員の声をしっかり聞き入れていたり、スキルアップのために様々なチャンスを設けたりと、本当に社員と会社のために取り組んでいるのが分かった。フラットであるから社員も心地よく働けており、最適化されていると感じた。 
社長は、「よく見てるね、痛いところをつかれたなあ」と仰っていました。
私たちが挙げた魅力は、社長ご自身の反省から変えたところが多いそうです。大企業を経て感じていた会社はこういうものだ、という考え方が中小企業では異なり、その失敗を直していった末に、現在のような会社になっていったとのことでした。
また、社長は理系で、分析・理解できることが好きなため、分析や知識の吸収を積極的に行っているそうです。加えて、「社員の笑顔が多いとそれが顧客にも伝わる」という考えを強く持っており、自分の近いところから良くしたいと思っていました。
反省と感覚を大切にしている社長の優しい人柄があるからこそ、素敵な会社になっているのだと感じ、私たちも感覚を磨いていきたいと思いました。

 

学生後記

花崎諒(はなちゃん)


今回の取材に行くまで、印刷業界のことは何も知らず、失礼ながらただチラシや名刺などを刷ったりしている業界だと思っていました。しかし、営業の方が広告印刷の契約を取り付けたり、デザイナーさんが広告を魅力的にデザインしたりと、多くの人がたくさんの工程を重ねて成り立っている業界なのだと分かりました。また、あけぼの印刷社さんでは、印刷だけにとどまらず、広告の提案や、看板製作、Web広告まで取り扱っていて、今後の印刷業界はこういう風に時代に対応していくのかなと、業界の未来の形も垣間見えたような気がしました。
他にも、今はインターネットから注文できる会社も多くなっているため、印刷業を行うための場所のことも全然考えておらず、印刷機のサイズがとんでもなく大きいこと、それに応じて大きな土地が必要なことが分かり、非常に新鮮でした。
社員のことを非常に大切にして、会社のために常に考え続け挑戦していく山田社長の姿を、社員さんはすごく尊敬しており、あけぼの印刷社で働けることに誇りを持っている様子が伺えました。私もこんなに素敵な会社でお仕事がしたいと強く思えました。
お忙しい中、貴重でとても有意義な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。

 

阿部杏香(きょうちゃん)


東京に進出しようとしたり、ただ合理性を求めたりするのではなく、自分の近くのものを大切にして維持・発展させていこうとする姿がとても素敵な会社だと思いました。社長は社員さんが働きやすい環境をつくり、社員さんはお客様により喜んでもらえるように、お客様の求めるものを引き出そうとしていらっしゃいました。
今回、会社のことだけでなく社長や社員さんの考えに触れられたことは自分にとっていい機会となりました。
私は今まで自分のことを卑下するだけで、周りが見えていませんでしたが、まずは近くの人にどうしたら貢献できるかを考えて生活したいと思いました。
取材に応じてくださった皆さん、色々とお話をしてくださりありがとうございました。