実践型インターンシップから考える、誇りある日立|うのしまヴィラ 館主・原田実能さん

うのしまヴィラ外観-Trimming

うのしまヴィラの館主・原田実能さんにインタビューしてきました!

日立市にある「うのしまヴィラ」の館主・原田実能(みのう)さん。
プライベートビーチさながらの海岸が広がるロケーションで、旅館とカフェ&ダイニングを営んでいます。

       原田実能(みのう)さん                             目の前の太田尻海岸

                  

うのしまヴィラ」は、東日本大震災で大半の施設が全壊となる被害に遭いましたが、2014年4月24日に施設を新設し、まったく新しいスタイルで生まれ変わり(リボーン)しました。

最初のインターン生の中澤萌々子さんは、都内の大学に通う大学2年生(インターン実施時)。
埼玉県出身・在住の茨城県には縁もゆかりもない学生でした。
中澤さんはリボーンオープン2周年の記念となる感謝祭の企画運営の中心となり、200名が参加する素敵なイベントを大成功に導きました。

   中澤萌々子さん               リボーン2周年イベントの様子       イベントでの海ヨガ

   

今回はそんな素敵な場所、海辺のセカンドハウス「うのしまヴィラ」を経営する、原田さんにお話を伺ってきました。

熱意あふれるお話をたくさんしていただいたので、ぜひ最後までお読みください!

インタビュー本編

――どうしてインターン生を受け入れることにしたのでしょうか。

最初インターンシップコーディネーターの若松さんとの出会いがあり、資料を見て説明を受けて、普通のインターンじゃなさそうだなァと感じました。私も少し変わり者だから、面白いなぁと思ったんですよね。

それから若松さんとのヒアリングを通して、当館が何を必要としていて、どういう風にインターン生とコトを進めていくかというやり取りの中で、面白い落としどころが見えてきたので受け入れることにしました。

 

――最初にヒアリングを受けて、インターンを進めていったのですね。

そうなんです。聴いてもらうことで出てくることっていうのが色々ありましてね。

幾つかの候補を絞っていく中で、2周年記念イベントをやろうってことになったんです。1周年記念の時には何もできなくって残念な思いをしていたので。

その時はスタッフ不足というか、自分が中心でやり始めるとイベントに集中することになって普段の業務が疎かになる。でもイベントは開催したい。その時間が自分で取れないのなら、じゃあインターン生さんにやってもらおうってことで。

 

――やはり最初は不安だったとか。

家族経営の小さな旅館なので、インターン期間の住まいと3度の食事をどうしようかと思いましたね。とくに食事は仕事柄不規則だし… 面倒を見てくれるだろう嫁さんとスタッフには負担がかかるだろうし、客室を一部屋潰さなきゃいけない。

――そうだったのですね。

でもそれはそれで、腹をくくるとそれに合わせて視点も変わって、良い状況が生まれてくるものです。同じ屋根の下に泊まってくれたことで、やっぱり人間的な触れ合いっていうか、付き合いが深まりましたし、インターン生にしてみても、通いではなくそこで暮らしたからこそ浮かんでくるアイデアがあったと思います。

どうかなぁと思っていましたが、始まってしまうと別になんでもなかったりすることが常。迷ったらチャレンジ!! を心がけていますし、不安を乗り越えるとFunになるんですよね!

――名言だ!(笑)

どんな人にも不安、問題は大小絶えず起こってくる。それに対してどう捉えるか、どう解釈してどう意味付けするかで、チャンスに変えていけるか、問題に飲み込まれてしまうのかに分かれると思うんですよね。

結果としてインターンを受け入れたことは、私流の非常に砕けた言い方をすると、娘が一人増えたって言う感じですね。そしてそこから更に繋がりがあった人とのご縁が広く深くなっていった。

 

――インターンシップ生にどのような期待をしていたのですか?

何かこの娘は新しいコトをやってくれそうだなァという期待はありました。ただ自分ができることは全力でやるし、できないことは誰かにお願いするってあっさり私は考える方なんです。人と人との繋がりの中で自分は生かされていて、人と人との繋がりの中で自分は誰かに喜んでもらっている。

私はそうやって生きて来たし、そうやってここに人が集まって来てくれている。新しく人と人が繋がってそこで化学反応が起きる。その化学反応でまた別な人と人が繋がって化学反応が起きていく。

この連続がまちづくりだし人生だと思っているから、そこはもうブレないその関係性が私にはすごく大事なことで、それをインターンを通してモモちゃん(インターン生)に伝えたかったし感じて欲しかった。

――関係性の大切さを知って欲しかったのですね。

そう。商品開発やイベント企画運営もいいのだけれど、その先に大切なものがあるのを知って欲しかった。

イベントを通してモモちゃんが茨城や日立の私の人脈と繋がることによって、関係性の大切さを知ること感じること。

あと、もしかしたら将来的に茨城に、日立に住んでくれるかもしれないなってちょっと思ったりしてね。

 

――どのように学生が関係性を構築していったか聞きたいです。

インターンが始まる前に、私の人の繋がりの中でこれは!と思う女の子を3人紹介したんです。

3人の女の子で3ガールだから、チーム名「Sun girl」、太陽の女の子たちですね。

――はい(笑)

3人ともみんなそれぞれ初対面だったのだけど、そこから3人の関係がビタッと深まって、土地勘のないモモちゃんを日立中連れ回してくれたんですよね。ありがたいことに、楽しみながらも、ものすごくしっかりサポートしてくれました。お泊まり会とかもしたりしてね。

そしたら、女の子3人だから、男子3人もサポートにつけなくちゃと思って…

――SUN BOYですね!?

Booー!! サンバを踊るような雰囲気の元気で明るいお兄さんたちなので「サンバガラス」!

――シブい(笑)

最初懸念したのは、モモちゃんって結構アーティスト肌だから、本来の行くべき目的に向かって行かないで、芸術方面にそれてしまうかも~と思って。

その辺は若松さんにも言ってあったし、「Sun girl」や「サンバガラス」のみんなにも伝えて、感謝祭というイベント主旨からそれないようにサポートしてねってお願いしておきました。

――すごくしっかりしたサポート体制が整っていたんですね。

そうですね。わたし自身もきちんとしようと思ったのですが、きちんとは行かなくて右往左往したこともありました。最終的には、サポートチームに助けられました。この編成がとってもよかった。なにごとも経験。

うまく収まるもんだなぁと思いながら(笑)

モモちゃんには大きな責任を任せたから大変だったと思うけれど案の定いい感じで、私としては有り難くも記憶に残るイベントに成ったと思います。

       中澤さんと運営メンバー             イベントでの原田さん

      

――その後関係性はどうなったんでしょう?

あのイベントだけで終わるのかなぁとも思ったけれども、「Sun girl」と「サンバガラス」たちがまた新しいチームを作ってくれて、3周年記念イベントは彼らがやってくれた!うのしまヴィラにとっても良い流れができました。

そうそう!10/22にもそのチームがバージョンアップしてイベントやりますよ。(10/17取材)人と人とが出会って化学反応を起こすことは面白いですね。 小さい規模でもいろんなところでそれが形になって現れているのが嬉しい。

――現在も関係性が続いてるんですね!

モモちゃんが来てくれてやったインターンが、ただインターンやって帰ったって言うんじゃなくて、そこからの波及効果が現在進行形で続いている。だからもう多分私の知らないところで繋がった人たちのイベントの輪が、いろんなところで何かを起こしていると思います。

――素晴らしいインターンの実例だと思います。

私としても非常にありがたかったなぁ思います。

黒子としての若松さんのサポートも非常に素晴らしかったしね。

 

――今後、もしインターンを受け入れるとしたら、何か取り組みたいようなことってありますか?

時期に関係なくていいなら、今私自身が取り組もうとしている大きな志事で手伝ってもらいたいことは「映画」ですね。

――映画というと。

直木賞作家の新田次郎さんが書いた「ある町の高い煙突」という小説があって、それが映画化されるんです。それに当たって映画「ある町の高い煙突」を応援する会の事務局長を引き受けたんですよ。

事務局長の大きな仕事のひとつが協賛金だけれど、まずこれをクリアしていくことが第一の任務。そしてその先にあるまちづくりに繋げたい。

――大役ですね。

はい。でも今やらなくちゃいけない。

この映画のストーリーですが、100年前に発生してしまった鉱山の煙害問題に、日立の住民と企業ががっぷり四つに組み、向かい合って問題解決していったという実話がもとになっているのです。そしてその象徴が大煙突なんです。これってものすごい事で、だって100年前ですよ!!

富国強兵の時代、国とか企業の権威で押さえつけても何も言えないような時代に、そうじゃない歴史を100年前の日立は独自でつくっていた。この歴史は誇るべきです。

しかもこれを超えるような公害対策の歴史というのは未だに世界に類を見ないのですから。

――そうなんですね!恥ずかしながら、全然知らなかったです。

意外と知らない人が多いのですが、これは日立の誇りだし、すごい観光資源ですよ。

映画化にあたって日立の人たちと話してみると、日立は海と山があっていいところなんだよ~って誰もが云うし…大煙突は昔からそこにフツーにあって特別なものでもない。

でも!! その先の深堀した魅力や実体験を交えて、大煙突や海や山について語り伝えることが出来る人があまりにも少ないなぁと感じました。

観光とは、光を観ることってよく言いますが、光って何かって言ったら、その土地の人が誇りに思っていることが光なんですよね。

でも、日立の人たちがこの歴史を誇りに思ってないことには、観光にはならないしできない。

――だから映画が作られる今なんですね。

そう!だからまずは大煙突が映画化されるこのタイミングじゃないとダメなんですよね。このタイミングの時に、この歴史を誇りに思えるような仕掛けをちょっとずつやってく。

これをやるための時間があまりにも膨大過ぎて、インターンが来てくれれば、私がやりたいことの幾つかでもその人に任せて動いてもらいたい。時間が足らなさ過ぎる。

 

――となると、地域づくりや映画に興味がある子が対象になりますかね。

そうですね、映像好きだけじゃダメですね。映画作りだけになっちゃうから。映像も好きだけども、それから先のことを見ている人。地域をつくる!! その映画で地域を元気にしたいって思っている若者。

――まちづくり思考が強い子がいいかもしれないですね。

制作という視点から見たら映画はゴールかもしれないけど、まちづくりの視点から見たら映画は手法。

その先へ行きたい。イベントをたくさんやっても、そこでお金は落ちるけども、瞬間だから。

キーワードとしては、選び続けられる日立。選び続けられるって言うことは、ここにしかない光がずーっと磨き続けられて行くから、ずーっとここに人が来るわけですよね。

だから一回作ってポーンってやったら終わりっていうコトじゃなくて、やり始めたらこっちも本気ですよ。結構きついと思うけど、だからそれを一緒に汗をかいて手助けしてくれるインターンの若者がいるなら、ぜひお願いしたい。

 

――最後に一つだけ、インターンを受け入れてどうでしたか?

いや~、良かったですよ!300%良かった。

――貴重なお話をありがとうございました!

 

原田館主とは初対面だったのですが、とても熱くお話をしてくださって圧倒されてしまいました。

日立を盛り上げたい、という熱心な思いにすごく感動しました!

これから地域と学生をつなげる架け橋になるべく動く僕には、とても励みになるお話です。

館主・原田実能さん、本当にありがとうございました!

       原田実能さんとインタビュアー若松理央

       

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■うのしまヴィラ

所在地 〒317-0052 茨城県日立市東滑川町5丁目10−1
Tel          0294-42-4404
Website  http://unoshima-villa.com/ 
定休日 毎週火曜日・水曜日

〜CAFE & DINING 海音 〜
ランチ 11:30~14:30(ラストオーダー 13:30)
カフェ 13:30〜16:00(ラストオーダー 15:30)
 ※夏休み期間のカフェタイム 13:30〜15:00(ラストオーダー 14:30)
ディナー 18:30〜(要予約)(詳細はお問い合わせ下さい)
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