茨大iOPラボ「クリエイティブに地域活性化する」リポート

クリエイティブに地域活性化する iOPラボ

2019年最初のiOPラボ。企画運営も佳境に入る中、トーク中心の会を開きました。ゲストは、茨城移住計画を運営する株式会社カゼグミの代表取締役である鈴木高祥さん。10年以上地域に関わり、様々な個人や組織が連携して行う共創の場づくりや、ワークショップの企画・運営を行っています。茨城での取り組みと全国での地域活性化の事例について紹介します!

ゲスト紹介:鈴木高祥さん

成人式も明けた1月15日(火)、新年最初のiOPラボ「クリエイティブに地域活性化する」を開催しました。年末年始を挟んだため、1週間程度と短い告知期間でしたが、地域活性化や場づくりなどに興味がある学生が参加してくれました。茨城キリスト教大学からも参加者が2名いて嬉しかったです。
まずは、全員で名前・所属・参加した動機などを一言ずつ自己紹介します。

こちらが、スピーカーの鈴木高祥さんのプロフィールです。

1981年、茨城県水戸市生まれ。株式会社カゼグミ 代表/茨城移住計画 発起人。大学卒業後、人材総合サービス企業にてコピーライター、クリエイティブディレクターとして勤務。その後、シブヤ大学の立ち上げを経て、横浜を拠点に「世代間交流」「行政・企業・NPO連携」をテーマにした街づくりコンサルティング団体「SoLaBo」を立ち上げ代表に就任。横浜市をはじめ、様々な企業連携による共創の場づくり、およびワークショップの企画・運営を行う。2018年には「茨城移住計画」や、個人や組織が変容するために必要な相互作用がおきる場を ”発酵” に見立てた「カモス会議」を主宰するカゼグミを設立。また慶応大学大学院システムデザインマネジメント研究科や「エコロジーとエコノミーの共存」をテーマにしたThink the Earthにも所属し、様々なプロジェクトを手掛けている。

全国で様々なセクターと関わり、立場を越えた連携をつくっています。茨城と全国両方で活動や事例を紹介してもらいます。

多面的に考える

鈴木さんは、全国でワークショップなど共創の場づくりをしてきました。石川県では移住の仕事をしており、10年前から地域をつなぐツーリズムをやっていたそうです。昨年、株式会社カゼグミを立ち上げ、茨城での活動をメインにしています。
その他の活動にもいくつか従事しており、Think the Earthでは環境問題などをテーマにしています。最近では、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて、学校向けに地球のことを考える時間をつくる活動をしました。楽しく、心地よくできる取り組みを意識しているそうです。
また、ワークデザインラボは、兼業・副業の推進をしています。会社員の中でイノベーションを起こす人材を集めているそうです。

今メインにしている茨城移住計画ですが、「移住計画」は全国にあります。茨城では「好きなことでつながれる。健康的に生きられる。」ことを大切にしていて、「スポーツ×移住」がテーマです。
茨城移住計画としての活動は、大きく3つあります。
if design project」というアイデアソン、「鍋部」、「stand」という交流会です。
クリエイティブに地域活性化する iOPラボ
if design project」は、地元企業の課題を東京の社会人がメンターとともに考えて、企画提案します。笠間の栗では、「栗の学校」をテーマにし、入学パンフレットなどを制作したそうです。プログラムが終わった後も、継続して笠間に行くなど、今後の活動が続いていきそうです。
stand」は、茨城にいる地域の人と繋がれることを大切にしています。最初の30分くらいで、地域のキーマンとなるゲストに話してもらいます。その後の2時間近くは参加者と交流する時間になっています。
鍋部」は、本当に鍋を作って食べるだけ。毎回、新規の参加者がいるそうですが、みんなで具材を切って煮込むという共同作業を通して仲良くなるそうです。

カゼグミの仕事は、相談とアイデア出し。色んな立場の方が関係するため、話し合いの中で、双方のニュアンスを調整する役目を持っています。「フレームを整える」「レイヤーを合わせる」「輪郭を可視化する」「解像度をあげる」。こうやって多面的な見方を通して、関係者の視点やゴールを整えていくそうです。
クリエイティブに地域活性化する iOPラボ

ここで、参加する学生たちに「クリエイティブは何か?」「地域活性化とは何か?」を問います。みんな付箋にイメージを書いて、共有していきます。

「クリエイティブ」からは、「芸術的」「新しさ」「枠にはまらない」「カッイイ」などというワードがでました。
「地域活性化」からは、「明るく」「動きがある」「熱量があがる」「賑わい」「楽しむ」「誇り」といったワードが出てきました。
クリエイティブに地域活性化する iOPラボ

これを見ても分かるように、同じ言葉でもイメージするものは、人によって違います。地域で活動する際には、まずこの言葉の意味やイメージを調整していきます。

参考事例

まずは県内の事例から紹介していきます。
rebaraki
 茨城県の移住定住サイトがリニューアルし、人に焦点をあてたつくりになっています。
up Tsukuba つくば駅前にあるコワーキングスペース。
結のおと 結城で行われている音楽フェス。神社、酒蔵などで開催されます。
PLAYatre 土浦駅直結の日本最大級のサイクリング拠点。
パラダイスビアファクトリー 鹿嶋にあるビール製造所。食の学びの場です。
コクリエ 日立にある地域貢献型シェアハウス。
ハルイチバン 今春にコクリエで2日間行われる学生向けのアイディアソン。

こちらは全国の事例です。
グリーンズ 全国のローカル情報が集まるサイト。
日本仕事百貨 「生きるように働く」をテーマにした全国の求人情報サイト。
西粟倉村 岡山県にある人口1500人の村。地域内で多くの起業家を創出しています。
シェアビレッジ 秋田県五城目町に拠点があり、都内との交流人口拡大に向けたプロジェクト。
INN THE PARK 静岡県沼津市にある公園内の宿泊施設。もともとは国民宿舎の活用から始まった。

事例を通して大事にしたいのは、「人を呼び雇用を増やす」という仕掛けのデザイン。場を作ろうというより、集まった人と何をしたいか。WHATやHOWの部分に注目されるが、WHYやWHOに注目をしていくこと。
見た目だけのデザインだけじゃなく、社会に何を提案しているか。これをやることで、地域がどう変わり、どんな人の動きができるか。そこを考えながらデザインするクリエイティビティが求められます。

イベントの感想

参加する学生から一言ずつ感想を言っていきます。
空き家の改修に取り組んでいる学生は、「茨大前の場づくりを始めていて、五城目のようなハッとさせるストーリーが大事だなと思った。」
鈴木さんから「茨大生と地域をどう接続するか。茨大卒業しても集まれるか。」という視点が大事ではないかとアドバイスいただきました。

その他、「新しい事例がたくさん聞けた。」「WHYやWHOを大切にしたい。」「地域活性化はもっと面白そうだと思った。」「地域活動は色んな人との出会いがあって、色々関わりたい。」などという意見がでました。

今回の参加者は、地域活性化に関わる学生が多くいました。今の活動をどう進めていくかや、仲間や周りの人をもっと巻き込みたいという思いもありました。色んな人と繋がり、協力しながら、活動をより一層進めて欲しいと思いました。