受け入れ学生10人以上!学生と挑む商品開発|まるみつ旅館 武子能久社長

まるみつ集合写真

まるみつ旅館の武子 能久(よしひさ)社長にインタビューしてきました!

茨城県を代表する冬の味覚である「あんこう」一筋に70年の宿を営む「まるみつ旅館」。

地元の良質なあんこうの濃厚な肝を使った「あんこう鍋」や「蒸し肝」など、本場で70年培ってきたあんこう料理が自慢の素敵なお宿です。

その姉妹店で、陶芸・菓子工房「てんごころ」。

てんごころは、県北ご当地スイーツ総選挙2014和菓子部門1位を獲得した「いちご生クリーム大福」や、笠間市の栗を使用した「モンブラン大福」などが地元で大人気のお菓子屋さんです。

その両方を経営する武子能久社長は、今まで10人以上のインターン生を受け入れてくれたとても懐の深い方です。

    武子能久社長                         まるみつ旅館                        てんごころ

   

今までのインターンでは、「てんごころ」での新商品開発や、「まるみつ旅館」での新しいお風呂企画等に取り組んできました。

      試作品の水風船ゼリー                            いちご風呂

           

今回はそんなインターン受け入れベテランの武子社長と、当時を知るインターンコーディネーターの若松佑樹さんにインタビューをさせていただきました!

普段は見られないようなインターンの裏側や社長の本音が聞けたので、ぜひ最後まで読んでみてください。

インタビュー本編

――インターンを受け入れていただいた目的、きっかけを教えてください。

【武子社長】

最初はインターンの言葉は知ってても、中身ってのは全然知らなくて。で、若松さんが来て話をしてもらったときに、ちょっと新しいことをやる基礎の研究なんかがしたいと思いました。

――チャレンジの部分を学生が担うということですね。

【武子社長】

あと、新しい若い子がくると流れが変わったりとかして。何か違うものが、得られるものが多いんだろうなってことで、そういうのが最初ですね。

それから一期目がおわって、やっぱりとっても会社にいいことがあったので。新しい人たちがくることによって会社の中の流れがよくなったり。あと、一生懸命ひたむきな姿が今いるスタッフの気持ちを押し上げてくれましたね。

――最初にインターンを受け入れた時って、難しくなかったでしょうか。従業員の方の負担だとか。

【武子社長】

そうですね、基本的に学生を受け入れるのが担当のスタッフと私ぐらいなので、そこまでの負担じゃありませんでした。特に今はスタッフも慣れて、要所要所で見ているだけなので。マンツーマンだったら社長はよくても、担当社員はたまったもんじゃないですよね(笑)

――会社の中で受け入れ体制が整っているんですね。

【武子社長】

最初から比べると、だんだんうちのほうも上手になってきてます。ピンポイントでこの期間でこれだけっていうのは、学生側も難しいところもあると思うので。ある程度枠を決めながらその学生の能力をみて、絞ってったり、広げてったり。そういうのをうまくやるようになりましたね。

【若松佑樹】

まるみつさんにはインターン中での関係性というか、人物をみながらどういうのが合うかなとすごく見ていただいていて。インターン生毎にカスタマイズしていただいているので、こちらとしてもかなりありがたいですね。

あと、武子社長は学生に良い話をしてくれたり、本をお勧めしてくれたりして。メンターというか師匠のような感じで学生に接してくださるので、それもためになってると思います。

――なかなかそんな機会ないですよね。

【若松佑樹】

社長さんが直々にこう伝えてくれるなんてね。

――すごく貴重な体験ですね。

【武子社長】

特に学生の売り手市場だと、もう華がなくなっちゃう学生が多くなっちゃうんで、心配ですよ。そんなに仕事って甘くないじゃないですか。来るまでは優しくても、入ってからそんなに優しくしてくれないですよ。

【若松佑樹】

だからあれだけ辞めてるって現状があるわけですもんね。取り合いだから良いように言って取るものの、結局ギャップで辞めちゃうっていう。

 

――他になにか大変だったこととか。

【武子社長】

一回4人入れたときはね、これは確かに大変でした。4人だとみきれない! ひとりひとり見てられないんですよね。試食も毎回4つ出てくるんで、全部食べなきゃいけない(笑)

私がいないときもあるじゃないですか。振り返りもしなきゃいけないし。4人はちょっときつかったなぁ。一回だけでしたけどね。

 

――学生に関してはどうでしょう。自主的に動く学生が多いですか?

【若松佑樹】

そんなことはないと思います。もうここは10人以上受け入れてもらってるから、やっぱり学生によってはばらつきがありますよね。

【武子社長】

ま、もちろんありますけど、基本的に商品開発なので。ゴールを決めて、学生もそれに向かって進めやすいようにはしてますね、やっぱり。

 

――インターンを受け入れる前と後で、何か変化があれば教えてください。

【武子社長】

はい。結局のところ会社でやれなかったことをやってもらってるんで、それが基礎になります。あと、もともとそれで研究してたやつが違うものに使えたりするんです。生地なんか特に。なにも最初にやったものをそのまま使えなくても、無駄にはなってないんですよね。

――具体的にはどのような商品に利用されているのでしょうか。

【武子社長】

今はどら焼きの開発をやるにあたって、1期目のインターンの子がクレープの開発で作ってくれた生地を使ったりしてます。

      第1期インターン生の鈴木ありささん

【若松佑樹】

かなり苦労しましたもんね、あれ。

【武子社長】

そうですね(笑)

【若松佑樹】

すごいフワフワの生地のクレープを出してるお店があって、そこを目指してたんです。スポンジケーキみたいなすごくふわっとした生地なんですよ。それを出すのが非常に大変で、学生が試行錯誤して、温度とか混ぜ方とか。同じ分量でも寝かす時間とかで変わっちゃうし、かなり精密なものだったんですよね。

【武子社長】

最後に発表で、売るっていうのがゴールだったんですけど、その売るって決めた日に限って生地を前の日に作ってたんですよね。そしたら次の日にカビが発生してたりとかしてて。

――それは最後には形になったんですか?

【武子社長】

はい、販売まではこぎつけました。

【若松佑樹】

彼女はそのまま継続してやって、週に一回か二回ぐらいは来て開発をしてました。12月まで10か月ぐらいかけてやって、鉄板とかプレートから見直してましたもんね。ガスだと均一に熱が通らないらしくて、電気じゃないとまんべんなく伝わらないとかあって。

【武子社長】

そうですね。もうその業務用のいいクレープの機械はありますから。今度はそれをお菓子作り体験のひとつの売りにしようとしてます。今お菓子のイベントでどら焼きをやってて100人ぐらい来るんで、次はクレープでやろうかなっていう感じですね。

       販売したクレープが完売したところ

――今後のインターンをやる場合、取り組むとしたらどんなことでしょう。

【武子社長】

今のとこは商品の基礎研究が一番やりたいことですね。優秀な学生さんはいるとは思うんですけども、やっぱり一ヶ月ぐらいでは、プランをだして形にしてパッケージして売るまではなかなか難しいです。

――試作品を作るだけでも大変そうです。

【若松佑樹】

それでもかなり急ピッチですよね。商品開発なんて普通半年から一年とかで、大企業だと何年かかりましたとかありますもんね。

――マーケティング等含めると時間が必要ですよね。

【武子社長】

今の商品開発の難しさっていうのは、商品ができておいしいだけじゃ売れないじゃないですか。

――見せ方を工夫する必要がありますか。

【武子社長】

そうですね。そういうのがどうしても入ってくるから、一ヶ月でやるとすると、ゴールが決まってて、ストーリー性があるものを一緒にやるぐらいじゃないと、多分世に出せない。

うちがやるのは一ヶ月の中で、生地だけとかっていうのが今は多くなりましたね。最後までやると成功させてあげたいから、その受け入れ側の負担も大きい。そうなると、自分がでてくる必要があると。そのへんが厳しいところですね。

 

――ここにインターンに来た子達ってみんな人間関係がよかったって言うのですが、何か特別な工夫をしているんですか?

【武子社長】

主立っては特にないですね。そういう社風っていうか。

――みなさん自然にやられているんですね。

【武子社長】

コミュニケーションが一番大事じゃないですか。社長だろうがなんだろうが、肩書はあくまでも肩書であって、それで上下じゃないからって話もしてますし。

――従業員のみなさんにその考えが浸透しているんですね。

【武子社長】

コミュニケーションがとれてないと、何をやろうとしてもうまくいかないですね。基礎、基本みたいなことです。旅館としておもてなしするので、スタッフ同士が仲悪かったら雰囲気よくないですからね(笑)

      武子社長と従業員のみなさん

 

――最後にひとつだけ、インターンを受け入れてどうだったでしょうか。

【武子社長】

よかったですね。

――満足度10としたらどれぐらい….

【武子社長】

10だったら10ですよね。いろんな子の成長が見れたり、出会いがあったり。難しい部分ももちろんあるんですけど。

インターンを通して学んだことを、今後の人生に活かせればってことで、自分の長所を見つけたりいろんな声を聞いたり。それで社会にでて楽しくやってもらえればなと思います。

――本日はありがとうございました!

 

武子社長はとても穏やかな方で人間関係を大切していて、インターンに参加した学生が口々によくしていただいたと言う理由がよくわかりました。

また、新しいことに挑戦し開拓をしていきたいという、武子社長の秘めた熱い思いも伺い知ることができました。

やっぱり茨城県北にはすごい社長さんがたくさんいます!

帰りに「てんごころ」さんでハニークリームブリュレを頂いたのですが、サイコーーーに美味しかったです!店員さんもすごく朗らかな方で、とても幸せな気分になりました。

武子社長、ありがとうございました!

      武子社長とインタビュアー若松理央

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■まるみつ旅館

所在地 〒319-1701 茨城県北茨城市平潟町235
Tel          0293-46-0569
Website  http://www.marumitsu-net.com/

■てんごころ

所在地 〒319-1701 茨城県北茨城市平潟町897
Tel          0293-46-8730
Website  http://www.tengokoro.com/
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